溶接工は、危険を伴う作業や関連業務があります。
そういった作業を安全に、スムーズに行うためにサポートするルールが存在します。
今回は、溶接工が安全に作業をするためのルールについて説明していきましょう。
溶接工の安全ルールとは?
溶接工の安全ルールとは、労働安全衛生法と溶接ヒューム法が知られています。
これらのルールによって、より安全に溶接を施工できるようになるため、必ず守るべきルールといえるでしょう。
ここでは労働安全衛生法と溶接ヒューム法についてそれぞれまとめていきます。
労働安全衛生法(安衛法)とはどんな法律か?
労働安全衛生法は、様々な職業における労働者の安全と健康を確保する法律です。
これは溶接工にも当てはまる法律であり、工場だけでなく船のデッキや工事現場での作業することが多い溶接工にとって安全に作業をするための基本的なルールといえるでしょう。
この法律は様々なルールが決められていますが、特に溶接工が関係するものとして、次のようなものがあります。
1・労働安全衛生法施行令(施行令)
2・労働安全衛生規則(安衛則)
3・粉じん傷害防止規則(粉じん則)
4・特定化学物質等傷害予防規則(特化則)
5・鉛中毒予防規則(鉛則)
6・酸素欠乏症等防止規則(酸欠則)
労働安全衛生法施行令とは、溶接工の環境に関するものです。
担当の管理者や産業医を選任するといったものや溶接のタイプによって発生する有害物質に対して、健康診断を行うべき有害な業務についてもルールが決められています。
労働安全衛生規則も同様にルールづけられています。
粉じん障害防止規則は溶接工の作業で発生する粉塵に対する設備、作業工程または、作業方法の改善、作業環境の整備等必要な措置といったルールが決められているのが特徴です。
後ほど解説する溶接ヒューム法とも関連がある法律です。
特定化学物質障害予防規則は、化学物質による労働者のがん、皮膚炎、神経障害その他の健康障害を予防するためのルールです。
使用する物質の毒性の確認、代替物の使用、作業方法の確立、関係施設の改善、作業環境の整備、健康管理の徹底といった溶接工の環境や作業内容についてのガイドラインと言えるでしょう。
鉛中毒予防規則は、鉛を扱う業務のためのルールです。
溶接工も溶接する対象物によって鉛と関係してくるので重要なルールといえるでしょう。
溶接工は、酸素欠乏症等を防止するための酸素欠乏症等防止規則も関わってきます。
この点もルールとして押さえておく必要があります。
労働安全衛生法は広範囲にわたって様々な業務に関する規則が規定されていますが、その中でも溶接工が直接該当する項目について注目することが重要です。
いわゆる溶接ヒューム法とは何か?
実は、溶接ヒューム法と呼ばれる法律はありません。
労働安全衛生法施行令、特定化学物質障害予防規則の内容が改定されて、新たに「溶接ヒューム」が特定化学物質(第2類物質)に認定されたことから、この2つの規則を溶接ヒューム法として呼ぶケースがあるということです。
溶接ヒュームとは、アーク溶接の際にアークから発生する熱で金属が溶けた蒸気の部分であり、健康被害があることが分かっています。
その溶接ヒュームの扱い方についてのルールが規定されたことから話題になりました。
ほかにも様々な溶接工のルールがある。
溶接工は、健康で安全な作業を行うために、ここまで紹介してきたルール以外にも次のような法律があります。
1・じん肺法
2・作業環境測定法
3・労働基準法
溶接工だけを示したものではありませんが、重要なルールとして知っておく必要があります。
まとめ
溶接工には様々なルールが制定されています。
さらにそれらは改定を重ねているので、作業するうえで常に新たなルールに直面することも少なくありません。
そういったルール改正は、業界でも話題になるので、こまめにチェックして安全に作業を行いましょう。